455:眼科ドックの結果に「視神経乳頭陥凹」って書いてある。これって何?
こんにちは。新宿東口眼科医院です。
季節も秋らしくなり過ごしやすい日が続いております。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?
今回のテーマは眼科ドックの結果に「視神経乳頭陥凹(かんおう)拡大」って書いてあるけどこれって何?です。
- 視神経乳頭陥凹拡大とは緑内障疑いの所見で記載されます。
眼科ドックにて「視神経乳頭陥凹拡大」と記載があれば、「眼科にて緑内障に関する検査を受けてください」ということです。
しかし、あくまでも疑いです。生まれつき視神経乳頭陥凹が大きい人もたくさんいます。そのような指摘があっても治療対象外もよくあります。
つまり大事なことはそれが病的な変化なのか。それとも異常を伴わない所見なのか精査する意味で鑑別することが非常に重要です。
- 視神経乳頭は視神経繊維の「束」。
眼の奥には視神経乳頭と呼ばれる直径約1.5mmの円形ないし楕円形の姿を呈し、色は明るいオレンジ、中央にくぼみ(陥凹)があり血管または視神経線維にとっては唯一、入口の役割を担っています。つまり視神経乳頭は視神経の唯一の通り道であり、唯一であるからこそ結束しています。
- 視神経は情報をつなぐケーブル。
視神経乳頭から顔を出した視神経繊維束は網膜表面全体に拡散していきます。そして網膜全体で得た光情報は広がったこの視神経を通り視神経乳頭へ帰着します。つまり視神経は眼で得た情報を脳へ伝達する「ケーブル」と言えます。
- 「視神経乳頭陥凹拡大」は視神経が減っている結果かもしれない。
どんな人でも視神経乳頭の凹み(陥凹)は観察できますが、この凹みが大きいと警戒が必要です。視神経乳頭の凹みが小さかった人がよりそれが何かしらの要因で広くなった場合、広がったスペースの分だけ視神経は端に追いやられ窮屈に「圧迫」されているからです。
圧迫され続けたケーブルは電気の送りが悪くなり、いずれは断線します。圧迫され続けた視神経はどうでしょうか。ケーブル同様、眼で得た情報は正常に脳へ送られなくなりいずれは伝達能が絶たれます。視神経は圧迫され続けると減っていき、眼でキャッチした情報が脳へ伝達しづらい状態になります。
それが緑内障症状の視野欠損という症状です。
そしてなにより視神経は再生できません。つまり、一度視神経が減ってしまうと対応した視野は回復できません。したがって眼科ドックなどで早期発見し、それ以上進行しないように予防または治療に努める必要があります。
- 最後に
緑内障所見は「視神経乳頭陥凹拡大」だけではありません。
眼科ドックにて他に「乳頭出血」「視神経繊維束欠損」と記載があればやはり緑内障疑いが強まります。これらも代表的な緑内障所見です。
当院では緑内障に関する精密検査(ハンフリー視野計、ゴールドマン視野計、OCT、眼底カメラなど)が手厚く行え、医師も緑内障専門と構えております。
もし眼科ドックにおかかりになり、以上のような記載があれば当医院までお越しください。最善の医療体制でご案内させていただきます。
- 一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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- 本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。