699:牛眼と緑内障の関係
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
青葉の美しい季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回のテーマは「牛眼と緑内障の関係」です。
〇緑内障
緑内障とは、目に入ってきた情報を脳へ伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。原因は様々ですがその一つとして眼圧の上昇が挙げられます。私たちの眼の角膜と水晶体の間は房水という液体で満たされています。この房水は角膜や水晶体など血管のない組織に栄養を与えたり、眼圧の調整をしたりする役割を持っており、毛様体で生産され線維柱帯へ流れ常に循環していますが、その経路に何らかの異常があると眼圧が上昇し、視神経が圧迫されてダメージを受けます。
○牛眼(別名:先天性緑内障、発達緑内障)
牛眼は、胎生期の隅角の発達異常により生まれつき線維柱帯の機能が低下して、房水の流れが悪くなり眼圧が上昇してしまう状態を指す先天性緑内障のことです。子供は眼が柔らかいため眼圧が上がるとともに角膜が肥大し、大きくなった黒目が牛の眼のように見えることから牛眼と呼ばれます。日本における牛眼の発症頻度は10万人に1人程度です。発症する時期は隅角の形成異常の程度によって変わるため、成人になってから初めて発症するという稀な例もあります。
〇原因
日本小児眼科学会よりCYP1B1という遺伝子に変異をみとめるケースが報告されていますが、牛眼の多くはまだ原因がはっきりとはわかっていません。
〇検査と症状
眼圧検査、隅角検査、眼底検査、角膜径の計測などして診断します。できる症状の1つとして、眼圧が上昇し眼が肥大することから、角膜径拡大が挙げられます。角膜の大きさが新生児で11mm以上、1歳で12mm以上の場合は注意が必要です。3歳を過ぎると、眼球は発達するので眼圧に対応し、角膜が大きくなることはありません。そのため、視力低下で病気が発覚することがあり、発見が遅れやすくなる傾向があります。また、そのほかの症状では角膜が混濁している、まぶたのけいれん、光をまぶしがる、涙が多くみられる、などがあります。特に乳児は自覚症状を自分で訴えることが出来ない為、周りの大人の方々の注意が重要となります。
〇治療
先天性緑内障だと診断された場合、治療は基本的に手術療法になります。通常では全身麻酔をして、ゴニオトミーまたはトラベクロトミーという、房水の流れが悪くなっている隅角を切り開くことで房水の流れを改善する手術が行われます。予後は約8割で眼圧を正常にコントロールできますが、新生児や2歳以降の発症では予後が悪く、角膜径が14mm以上では予後不要とされています。
牛眼は早期発見し、適切な治療を受けることが大切です。
新宿東口眼科医院では小児眼科外来も行っておりますので、お悩みの際はお気軽に受診してください。
上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
- 一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
- 無断での記事転載はご遠慮ください。
- 本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※ すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。