403:抗VEGF薬注射の適応と効果
こんにちは。新宿東口眼科医院です。涼しくなってきましたが、皆様どうお過ごしでしょうか。今週のテーマは、「抗VEGF薬注射の適応と効果」についてです。
この注射は、眼内の硝子体(眼の中の空洞を埋めるゼリー状の部分)に注射する薬剤で、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)という分子の作用を抑える働きがあります。
主に、滲出型の加齢黄斑変性の治療に使われます。
■血管内皮細胞増殖因子(VEGF)とは
新生血管(細く破れやすい新しい血管)の増殖や成長を促したり、網膜(カメラのフィルムに相当し、見たものの情報を脳に送る部分)内の毛細血管から、血液成分が漏れ出すのを促進したりする効果があります。
新生血管が網膜の部分で増殖し破れると、網膜内で出血やむくみを起こし、視力の低下をもたらします。
■抗VEGFに適応する病気
抗VEGFは、滲出型の加齢黄斑変性に対する治療薬として開発されましたが、VEGFが原因で起こる他の病気に対しても効果が認められました。現在適応となる病気は以下の4つです。
①加齢黄斑変性(滲出型)
②病的な近視による脈絡膜新生血管
③糖尿病性黄斑浮腫
④網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
それぞれの病気に対する効果のメカニズムについては、以下のURLをご参考下さい
http://www.eylea.jp/ja/home/support/download/(バイエル薬品株式会社HP)
■ほかの治療法との比較
抗VGEF薬の注射は、比較的新しい治療法で、2009年頃にできたものです。
加齢黄斑変性(滲出型)に対する手術は、はじめは新生血管抜去術(新生血管を手術で取り除く治療)や、レーザー光凝固術(新生血管をレーザー光で焼き固める方法)がありましたが、これらの方法は、正常組織を傷つけるリスクがありました。
そこで、2004年に光線力学的療法という、光に反応する薬剤を腕の静脈から注射し、熱を発生させないレーザーを病変部に照射する方法が発明されました。これは正常組織を傷つけるリスクが比較的低いものでした。それでも、これらの治療は、すべて視力の改善が期待できないことから、一定の視力を下回るような、症状が進行した方のみが受ける治療でした。
しかし、2009年頃から、レーザーを照射しなくても視力の低下を抑え、時に改善も期待できる治療である抗VGEFの薬を注射する治療法が可能になりました。この治療法は一旦低下した視力の改善が期待でき、かつ視力の良いうちからでも治療が開始可能な、画期的な治療法として、現在の主流となっています。
■ 希望される方へ
黄斑・網膜の治療は、当院では新川医師が行っております。お気軽にご相談ください。
TEL予約:03-5363-0507
WEB予約:https://www.shec-reserve.com/reservations/calendar?subject_id=1
●上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
●一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先させてください。