443:正常眼圧緑内障
こんにちは。池袋サンシャイン通り眼科診療所です。
だんだん暑くなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今週のテーマは「正常眼圧緑内障」です。
緑内障とは
緑内障とは何らかの原因で視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気で、中高年、特に強度近視であると発症のリスクが高まります。また、日本における失明原因第1位の病気でもあります。以前は眼圧が高くなることが原因とされていましたが、現在では眼圧が正常値(10~21mmHg)でも発症することが分かっています。さらに、緑内障の中でも約7割が眼圧が正常値であるにもかかわらず発症するタイプで、特に日本人に多いことが判明しています。これを正常眼圧緑内障と呼んでいます。
眼圧が正常にもかかわらず、発生するのは視神経が圧に弱いことや血液循環が悪いことが原因だと考えられています。
症状
主な症状は視野欠損ですが、初期~中期ではほぼ無自覚です。
初期には視力・眼圧は正常で、自覚症状が出にくい疾患です。気がついたときには進行が進み、末期の状態であったということも少なくありません。初期の視野欠損が生じても、欠損が生じていない目で欠けた部分を補ってしまうため、気がつくことはほとんどなく、自覚症状によって緑内障を早期発見することは難しいでしょう。自覚症状がでてくる頃には、視野の中心部まで視野欠損が進行している状態(末期)になっていることがほとんどです。
緑内障の判定方法
来院されたら、視力検査、眼圧検査、視野検査、眼底検査(眼底カメラによる検査、OCTによる検査)が当院では行われます。
それらの結果をみて、総合的に診断をすることになります。
眼圧が正常であっても、視神経乳頭陥凹拡大、神経線維欠損と言った眼底の変化があること、そして、緑内障特有の視野の変化が見られることなどが判断材料となります。
緑内障の治療
緑内障の治療で最も重要なことは、眼圧を下げることです。眼圧を下げ、これ以上視神経が障害されないようにすることで、進行を防止したり遅らせたりすることができます。
治療の目的はあくまでも、進行を止める、または遅らせることであり、回復を目指すものではありません。一度障害された神経は元に戻らないからです。
治療方法は、薬物療法、レーザー、手術がありますが、多くの緑内障の基本は薬物療法となります。一種類の薬物で効果がない時には、複数の目薬を組み合わせて治療を行います。薬の種類は現在では10種類以上あり、房水の排出を促す物、房水の産生を阻害するもの等多岐に渡ります。治療の目的は病状の維持ですので、効果がないと感じても、やめずに長期的に続けていくことが大切です。
レーザー治療では、虹彩に穴を開ける方法、繊維柱帯(房水の排出路)に照射する方法があります。いずれも房水を排出しやすくすることで眼圧を下げることを狙いとしています。
手術は、薬物、レーザーの効果が得られなかった時に行われます。手術でも、房水を排出しやすくし、眼圧を下げることが目的です。
緑内障は進行すると元には戻りません。早期発見、早期治療が大切になりますので、40歳を過ぎたら眼科で定期検査を受けるようにすることをおすすめします。
上記は一般的な説明です。
症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。