837:ドライアイでコンタクトレンズを着けても大丈夫なの?
こんにちは新宿東口眼科医院です。
余日少なくなりました歳晩のこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
今週のテーマは「ドライアイでコンタクトレンズを着けても大丈夫なの?」です。
1.ドライアイとその原因
コンタクト使用者に多く見られるドライアイ(角膜乾燥症、乾性角結膜炎)は、涙の量が足りなくなったり、涙の成分が変化することによって、目の表面に障害(傷)が生じる目の病気です。 空調で乾燥しがちなオフィス等でパソコンを長時間使用している人などに発生する事が多い疾患ですが、コンタクトレンズ使用者は特に発生頻度が高くなると言われています。 一説にはコンタクトレンズ使用者の約4割がドライアイとも言われています。
なぜコンタクトレンズ使用者にドライアイが多いかについては、以下の理由が考えられています。
・涙の循環が阻害される
目の表面にはまばたきの度に新鮮な涙が運び込まれています。しかしコンタクトレンズで角膜に蓋をした状態になると、まばたきによる涙の循環率はぐっと低下し、ハードコンタクト装用時では裸眼の約20%、ソフトコンタクト装用時では約2~3%に低下します。
・コンタクトレンズによって涙が奪われる
現在、コンタクトの主流となっているソフトコンタクトレンズはレンズ自体が一定の水分を含んでいます。レンズに水を含ませることによってレンズの柔らかさを保っています。ところが装用後、時間がたつとレンズに含んでいる水分が蒸発していきます。するとレンズは目の表面から涙を奪って水分量を保とうとします。そのためソフトレンズは長時間装用すると乾燥感が強くなります。
・角膜の知覚が鈍くなる
コンタクトレンズは角膜上に載せて使いますが、使い始め当初は異物感を感じても、使っているうちに慣れてきて異物感が少なくなってきます。これが逆に角膜の異物に対する知覚を低下させ、涙の量が減ったり、質が変化します。それに併せてまばたきの回数も減ってしまいます。パソコンなどの画面を見続けるとまばたきが少なくなる事が知られていますが、コンタクトレンズを付けていると、よりまばたきの回数が減る可能性があります。
2.ドライアイに向いたコンタクトレンズとは
ドライアイに向いたコンタクトレンズの特徴として乾燥感を抑えられるものが挙げられます。
【シリコンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズ】
1dayタイプのソフトコンタクトレンズの中でもシリコンハイドロゲル素材のものが一番オススメです。 低含水でありながら酸素の透過率が従来の素材であるヘマ素材のものよりも高く、長時間装用の場合でも安心なレンズとなっています。
【低含水ソフトコンタクトレンズ】
ソフトコンタクトレンズをレンズに含まれる水の量で分けると、高含水タイプと低含水タイプの2つになります。 低含水タイプはソフトレンズの中では乾きにくく汚れにくいといったメリットがあります。ですがレンズ越しの酸素透過率がやや低めのため、長時間装用する事が多い人の場合、目の負荷が高くなる可能性があるといったデメリットもあります。
ドライアイの方がコンタクトレンズを装用しても問題はありませんが個々人の目の状態によりますので、必ず眼科で受診の上、目に合ったコンタクトレンズを処方してもらうようにしてください。
- 上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談してください。
- 一般の方向けですので医学用語が必ずしも厳密ではありません。
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- 本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。



