865:どうしてコンタクトを着けたまま寝るといけないの?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
初夏の候、いかがお過ごしでしょうか.
今回のテーマは「どうしてコンタクトを着けたまま寝るといけないの?」です。
●コンタクトレンズを着けたまま寝るとどうなるのか?
コンタクトレンズを着けたまま寝てしまうと、レンズが乾燥し眼球に張り付いて外しにくくなります。それは、コンタクトレンズに必要な涙の量が不足してしまう為です。
実は涙は目を閉じるとほとんど出ません。睡眠中は目を閉じている状態なので、眼の中の水分が徐々になくなってしまいます。よって、コンタクトレンズが乾燥してしまい、乾燥感や張り付き感を引き起こしてしまうのです。
●コンタクトレンズを着けたまま寝たときに起こりうる眼のトラブルは?
コンタクトレンズを着けたまま寝てしまうと、コンタクトレンズが外しにくくなること以外にも問題が発生します。
コンタクトレンズを着けたまま寝てしまうと角膜(黒目)が酸素不足になり、角膜内皮細胞(目の細胞)が減ってしまいます。この細胞は角膜(黒目)の透明性を維持している細胞で再生しません。つまりダメージを受けると受けただけ細胞は減少し、二度と細胞は復活しないのです。細胞が少なくなるとどうなるのか、角膜内皮細胞(目の細胞)の機能が働かなくなるので、角膜(黒目)の透明度を維持できず、角膜(黒目)が白く濁ってしまい、視界が悪くなってしまいます。また、角膜内皮細胞(目の細胞)の数が正常の数よりも大きく下回ってしまうと、角膜内皮細胞(目の細胞)に少なからずダメージを与えてしまう白内障手術などの眼科手術が、将来的に出来なくなってしまう可能性があります。
コンタクトレンズは高度管理医療機器(カテーテルや人工透析と同じ分類)です。きちんと使い方を守って、正しく使用しましょう。
ダメだとわかっていても寝てしまった…?
コンタクトレンズが目に張り付いた状態で外してしまうと、角膜(黒目)の部分に傷がついてしまう可能性があります。万が一、コンタクトレンズを着けたまま寝てしまったときは、以下の2つの方法で対処して下さい。
1.コンタクト専用の目薬を付けてコンタクトレンズを潤わせてから取り外す。
2. 洗面器に水を張り、そこに顔を付けて目をパチパチします。するとそのままコンタクトレンズが取れます。外れなくてもコンタクトレンズが潤うため、眼の張り付き感が軽減し、普段通りに外すことが可能です。
それでもコンタクトレンズが外れない場合は無理に外さずに眼科の受診をお勧めします。
強引に外そうとしてレンズが破れ、目の中に破片が残ってしまうという場合もあります。
ご自身で外すことが出来ても目に痛みや違和感があった場合は速やかに眼科を受診して下さい。
また、よく「寝ている間にコンタクトレンズが目の裏側に入ってしまった!」と慌てる患者様も少なくはありませんが、目の構造上そのようなことはありません。
コンタクトレンズをしたまま寝ると、自分ではずっと目を閉じているつもりでも眼球は動いていることがほとんどなので、レンズがずれてしまうことが多々あります。コンタクトレンズが目の裏にいってしまうことはありませんが、まぶたの裏側に入ってしまうこともありますし、乾燥したコンタクトレンズで目に傷がつくことや、取れにくくなることもあります。
目の健康を守るためにも、コンタクトレンズは正しく安全に使用しましょう。万が一のトラブルがあっても、慌てず正しい対処を心がけ、必要に応じて早めに眼科を受診してください。日々の小さな心がけが、大切な目を守る第一歩です。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
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●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。