141:瞳孔のしくみ
こんにちは。新宿東口眼科医院です。 真夏日が続いております。しっかり水分を取り熱中症等に気をつけてください。
今週のテーマは、「瞳孔のしくみ」です。
黒目という言葉が私たちには、馴染みがあるかと思いますが、専門的には、黒目のことを「瞳孔」と言います。なんとなく瞳のことだとは、お分かりいただけるかと思います。今週は、その「瞳孔のしくみ」についてお話します。
<瞳孔の位置と形>
瞳孔は、水晶体(カメラのレンズに相当し毛様体と連動してピントを合わせる器官)の
前方に位置します。ヒトの瞳孔は、ほぼ正円形の形をしています。
<瞳孔の変化>
眼球の色がついている部分を虹彩(こうさい)と呼び、その真ん中にある、通常「黒目」と呼ばれている部分を瞳孔(どうこう)といいます。普通はこの瞳孔が大きくなったり小さくなったりしているように見えますが、実際には虹彩が伸び縮みをして光の量を調整しています。カメラにたとえると虹彩は絞りに相当します。2mmから8mm程度の間で変化します。瞳孔の大きさの変化は、網膜に投射する光の量の調整によって違います。明るいところと暗いところでは、瞳孔の大きさが違うことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。明るい所を見るときや近くのものを見るときでは、縮瞳が生じ、瞳孔径は小さくなります。暗い所を見るときや遠くを見るとき、また、驚いたときには、散瞳が生じ、瞳孔径は大きくなります。このような現象は、専門的には、[対光反射]と呼ばれています。
<散瞳と注意事項>
瞳孔を広げる薬を使う際のご注意をご説明いたします。
散瞳すると15分から30分くらい経つとひとみが大きくなってきます。そうなると光がたくさん入ってくるので、晴れた日に外に出るとまぶしく感じ、視力も落ちます。また、ピントを合わせづらくなり近くの字がかすんで見えます。その間、車やバイクの運転や事務仕事、戸外での仕事などやりづらくなります。携帯電話やパソコンなども使いにくくなります。階段を降りるとき、踏み外しやすく転倒に繋がる恐れもあります。特に車やバイクの運転は事故につながるので、散瞳した日は運転しないようにしてください。それは、一般に5~6時間程度続きます。個人差は、ありますが時間が経てば回復します。それまでは、慎重に過ごされてください。
<瞳孔と目の病気>
眼科では、よく「瞳を広げるお薬を入れて眼の奥を診ますよ。」などと説明して瞳孔を広げるお薬を入れます。では、瞳孔を広げる必要がある病気とは、どういう病気があるのでしょうか?
★ 瞳孔の異常による疾患名
□瞳孔の先天異常
天性無虹彩症、虹彩欠損など
□瞳孔の後天異常
ホルネル症候群、動眼神経麻痺、外傷・手術による異常、薬物による異常など
★アディー緊張性瞳孔
・アディー緊張性瞳孔は、球内の筋肉が麻痺する疾患で特に原因がなく起きるものと言われています。アディー緊張性瞳孔は瞳孔が大きく開き、対光反射が消失します。
★ ぶどう膜疾患と瞳孔
・ぶどう膜とは、「虹彩」、「毛様体」、「脈絡膜」と呼ばれる3つの組織の総称です。ぶどう膜の一部、または全体に炎症をおこした時に、「ぶどう膜炎」と呼ばれます。炎症によって、光を調節する瞳孔の動作が鈍くなり、調節がきかなくなります。ぶどう膜炎の治療として、虹彩と水晶体がくっつくのを予防するために、散瞳薬といって瞳孔を広げる目薬を点けることもあります。
当院では、上記の病気に関する診察のご予約を承ります。
ご予約をご希望される方は、こちらからどうぞ。
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