649:涙はなにで作られている?
こんにちは、新宿東口眼科医院です。
青葉が目に眩しいこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今週のテーマは 『涙はなにで作られている?』です。
【涙の成分】
涙の原料は血液です。成分としては9割以上が水で出来ており、タンパク質・リン酸塩も含有します。涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出されたものです。一般的に弱いアルカリ性の液体です。
【涙の流れ】
涙腺から涙が分泌され、まばたきによって目の表面全体に運ばれます。そして、涙点(上涙点・下涙点)から鼻腔へと排出されます。涙は10%が表面から蒸発して、残りの90%が上涙点・下涙点から流れ出るといわれています。正常な眼は涙の分泌と排出が均等に保たれています。しかし、涙の分泌が減少すると眼の表面が乾燥するドライアイとなります。ドライアイは、眼の疲れ・ごろごろ・充血する・角膜や結膜に傷がつくなどの症状を生じます。
【涙の働き】
眼はまぶたと涙によって守られています。涙には、主に下記のような役割があります。
目の表面をバイ菌・異物から守る、角膜に酸素・栄養を運ぶ、ゴミ・ホコリを洗い流す、目の表面を滑らかな状態にして「ものをきれいに見る」動きを支える これらの大切な役目をしている涙がもし出なくなってしまうと、角膜が乾燥してやがて混濁し、視力障害が起こると考えられます。
【ドライアイの分類】
ドライアイの病態は様々ですが、一般的には、涙の量が減ってしまう涙液分泌減少型、すぐに涙が蒸発して眼が乾いてしまう涙液蒸発過多型の二つに分類されます。
・涙液分泌減少型 涙の量が減ってしまう涙液分泌減少型は、シェーグレン症候群のような自己免疫疾患が基礎にある場合と、病的な要因がなく涙が減ってしまうドライアイがあります。後者は、科学的には証明されていませんが、ストレス、環境因子、またホルモンバランスなどの関与が疑われています。
・涙液蒸発過多型 涙液蒸発過多型の要因としては、パソコン等によるVDT症候群が最近多く見られます。また、コンタクトレンズ装用によって生じるドライアイもこちらに分類されます。その他、まばたきの異常によるものや、重症なものでは薬剤に対する過剰なアレルギー反応で発症するスティーブンス・ジョンソン症候群などが挙げられます。
【ドライアイの主な検査及び治療】
・検査
- BUT検査・・・目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの(BreakUpTime)を測ります。
涙とは・・・ 上まぶたの内側にある涙腺から分泌される体液のことです。通常の分泌量は1日平均2~3ccといわれています。眼球の保護が主要な役割ですが、人間特有の現象として、感情が高まったときに涙を流すことがあります。
- シルマー検査・・・専用の紙を下まぶたの端に3分間挿入し、 涙でぬれた紙の長さで涙量を測ります。
・治療
- 点眼液による治療・・・涙液分泌自体を促進させる薬物はなく、 人工涙液点眼液で不足した涙液の補充を行う方法です。
- 涙点閉鎖による治療・・・涙は目の表面から蒸発する以外はほとんどが涙点から鼻に出る為、涙点を閉じて涙の流出を抑え、涙を眼の表面に十分に溜める方法です。 当院では「シリコン性涙点プラグ」と「コラーゲン製涙点プラグ」を利用した治療をしております。
・涙点プラグはドライアイおよびシェーグレン症候群の治療に使われる医療用器材となります。主に涙液量が少ない疾患に有効な治療方法のひとつで、瞼の上下にある涙点をプラグで閉鎖する事で涙液を溜めておけるようにします。
シリコン製涙点プラグ(スーパーフレックスプラグ)とは?
涙点プラグを挿入する前に、涙点の大きさを計測するため、下部のプラグケージングシステムを使います。スーパーフレックスプラグは、直径が0.4~1.1ミリと幅広く、ほとんどの方の涙点サイズに合わせる事が可能です。
涙点プラグの挿入は事前に点眼液による麻酔を行った後実施します。麻酔から挿入まで20分~30分程度で終了します。
コラーゲン製涙点プラグ(キープティア)とは?
コラーゲン製涙点プラグは生体適合性の高いアテロコラーゲンを使用しており、体温によりゲル化する特性を利用して、充填時には液状のため簡単に充填でき、涙小管内ではやわらかいゲルとなり刺激が少なく、かつしっかりと涙点を閉鎖できます。
- 上記は一般的な説明です。症状が気になる方は受診の上、医師に相談して下さい。
●一般の方向けですので医学用語は必ずしも厳密ではありません。
●無断での記事転載はご遠慮ください。
●本文の内容は一般論の概括的記述ですので、個々人の診断治療には必ずしも当てはまりません。
※すでに治療中の方は主治医の判断を優先してください。